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『マイ・インターン』※乱世をしなやかに生きる柔軟な身のこなし

『マイ・インターン』(2015年)

主演:ロバート デ ニーロ/アン ハサウェイ

名優デ・ニーロがチャーミングで頼れるシニアインターンを演じた話題作。女性経営者アン・ハサウェイのアシスタントとなってさまざまな難題に助言をしていくうちに40歳の年齢差を超えて友情が芽生えていく。見れば心があたたかくなる、洗練されたハートウォーミングストーリー。

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出典:Amazon.com

この映画、こんなあなたにおすすめです!

  • 手触りやさしいハートフルストーリーに癒やされたい人
  • キャリアと結婚生活の両立に悩む女性
  • 「まだまだ現役!」と奮起したいシニア世代の人
  • 変化に富んだ時代をしなやかに生きるヒントを求めている人

『マイ・インターン』作品情報

監督 ナンシー・マイヤーズ
脚本 ナンシー・マイヤーズ
撮影 スティーブン・ゴールドブラット
音楽 セオドア・シャピロ
出演 ・ベン・・・ロバート・デ・ニーロ
・ジュールス・・・アン・ハサウェイ
・マット・・・アンダース・ホーム
・ペイジ・・・ジョジョ・カシュナー
・フィオナ・・・レネ・ルッソ
上映時間 121分
ジャンル ハートフルストーリー

ストーリー

ベン(ロバート・デ・ニーロ)は70歳。妻に先立たれるも、悠々自適のセカンドライフを送ってる。ある日、ファッション通販会社の募集しているシニア・インターンに興味を持ったベンはさっそくエントリー。見事採用される。

ベンの仕事は経営者ジュールス(アン・ハサウェイ)専属アシスタント。ジュールズはなにかと目ざといベンをうとましく感じてしまう。しかし、ベンのあたたかな助言と飾らない人柄に信頼をおくようになる。

やがてジュールスは公私ともに大きな試練に直面。そのときベンがジュールスにしたアドバイスとは……?

『マイ・インターン』動画配信を見ての感想

まめやか流筆のすさび

癒やしのデニーロ

『マイ・インターン』を見て感じた印象を筆のすさびで表現

ゆったりとした流れ……だけど心地よいテンポがある

何度見ても心洗われるような映画は誰にも1本2本くらいはあるだろう。僕が、ささくれだった気持ちをほっこり落ち着かせたいときに見るのが、この『マイ・インターン』だ。

物語がゆったりと心地よく流れて、それでいて退屈なシーンがまったくない。テンポがよいために映画本来のもつ面白さをじっくり堪能できる。『マイ・インターン』を見るたびに、ド派手なVFXや、息もつかせぬスリリングな展開だけが映画の醍醐味ではないと思う。

デニーロに癒やされてしまう

そんな『マイ・インターン』の作品カラーやテイストを明確に特徴づけるの主人公ベンだ。名優ロバート・デ・ニーロ演じる主人公は、70歳になっても身だしなみを整えて、いつもおだやかで余裕がある。現役時代、おおきい伸びしろを十分に活かしきって貢献しきった人間のもつ ” 円熟 ” と言えばいいだろうか。

人生の黄昏期に入ってのびやかに心ゆくまで人生を楽しんでいるベンは、アパレル企業にインターンとして採用される。周囲に清新な風をもたらして、着実に地歩を固めていくところは見ていて気持ちいい。すっかりデニーロに癒やされてしまう。

女社長ジュールスの善良さに心打たれる

いっぽうアン・ハサウェイが演じるのが気忙しげな女社長ジュールス。快活でクレバーな彼女もベンに触発されたのだろうか、物語の進行にしたがって、人間的な弱さをもったチャーミングな女性であることが徐々に明らかになっていく。変化してゆく内面の描写は秀逸である。

社長付きアシスタントであるベンが、やがてジュールスが助言を乞うほどのメンターになるところがなんとも微笑ましい。微笑ましさが高じて、じんわりこみあげてくるものがあった。ジュールスの善良さに心打たれるのだ。

やさしさ、思いやり、誠実さ、公正さ……ベンやジュールスをとおして、まっとうに生きる素朴な喜びを教えてくれる素晴らしい佳作である。

『マイ・インターン』のキャストについて

ロバート・デ・ニーロ

ロバート・デ・ニーロといえば、『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『ゴッドファーザーPARTⅡ』などギラギラに尖った役柄のイメージが強い。そんなデ・ニーロが、まさかここまで瘉し系になれるとは想像もできなかった。やっぱりこの人は、演技することの魔性に魅せられた人なんだなあとつくづく感心してしまう・・・ほくそ笑むデ・ニーロが目に浮かぶようだ。

いつもにこやかでしなやかなシニア男性を演じてもまったく無理がない。のびのびと自由に呼吸しているような演技である。実直で善良なだけでなく、色気もチャーミングもたっぷりなシニア男性を演じさせても超一流。リアリティーも説得力も申し分ない。

名優は、役柄にあわせて相貌や体型や雰囲気を変化させる「デ・ニーロ・アプローチ」が健在であることを、『マイ・インターン』で証明してみせた。

アン・ハサウェイ

清淡で深みのある魅力をそなえた女優だ。エネルギッシュできっぱりとした女社長ジュールス役はぴったりはまっている。『マイ・インターン』を見て、僕もすっかりアン・ハサウェイのファンになってしまった。(メグ・ライアンにせよ、藤純子にせよ、このサイトで取り上げた作品の主演女優はほとんどファンになっているけれども)。

この人には演技力もさることながら、淑やかで一本気な女優魂みたいなものが感じられる。「自分が納得すれば、どんな役柄だって演じてみせるわ!」というプロフェッショナルの気概だ。デ・ニーロとのW主演に遜色ない。

ジュールスは、若くしてビジネスに成功し、美貌の女社長である。ファッション通販サイトの経営者だけあって、つぎつぎに変わる装いも美しい。だが、彼女には適度に ” 隙き ” があり、ほどよく弱さを抱えているひとりの女性として描かれている。まったく ” 隙き ” のないキャリアウーマンではそれほど共感はできなかっただろう。

ベンに支えられながらも試練を立ち向かうジュールスは、溌剌としたエレガンスに満ちている。ひとりの女性の成長物語として見ても『マイ・インターン』は出色のできばえだ。キャリアと結婚生活の両立に悩む女性を勇気づけることだろう。

まめやかコラム

乱世をしなやかに生きる柔軟な身のこなし

テクノロジーの進化によって、現在はかつてないほど社会や経済は目まぐるしく変化します。昨日までの常識は、今日は通用しないかもしれない。1年先ですら状況が読めないのです。

おまけに、ひとつの分野で専門特化すれば、一生安泰という時代ではありません。学歴や資格、手に職でさえも、マーケットが要請しなければ役に立たないのです。

でも僕は、そういう時代の潮目の変化を「多」としたい。変化に抗うのではなく、変化を乗りこなし楽しんでいくことで、より個人の資質を生かした活躍の場が開かれるのではないか、と。

変化をしなやかに生きる柔軟な身のこなしと、ひとつひとつの経験や感情を楽しみきる態度によって、自分の可能性が大きく開かれていくのです。

『マイ・インターン』でベンが応募するシニアインターンは、「履歴書ではなく自己PRを動画にしてWEBからエントリー」という条件でした。70歳男性ならたじろいでしまうでしょう。しかし、ベンは楽しみながら、自己PR動画を撮影してジュールスの会社に応募するのです。

ベンはちょっと困ったことがあっても、首をすくめてにこやかにやりすごす。品位と余裕を失うことなく、目の前にあるものごとをとことん楽しんでいこうとする。そんなベンの柔軟な身のこなしは、変化に富んだ乱世を快活に生きぬくヒントを与えてくれるでしょう。

ちゃお!!

それではまた